コーセーは、iPS細胞を用いた皮膚科学研究への応用への取り組みを発表しました。
元京都大学iPS細胞研究所 特任教授で現コーセー研究顧問の加治和彦氏と共に、コーセーが発表したのは、同一人物から得た異なる年齢での皮膚線維芽細胞からのiPS細胞の作製・解析・評価。それにより老化過程で短縮した“テロメア”(細胞の染色体の両端にある塩基配列の反復構造)が供与年齢に関わらず回復しているという新知見。

着目したのは、老化した細胞がiPS細胞として初期化された時の回復の度合い。
老化の指標として用いたのは、細胞分裂を繰り返すと短くなり、ある限界を超えると細胞分裂が止まる、細胞の寿命を司ると考えられている、細胞の染色体の両端にある“テロメア”と呼ばれる繰り返しの塩基配列構造。“テロメア”の長さの回復に着目しています。
明らかになったのは、iPS細胞の特性により、細胞に刻まれた老化の痕跡は初期化の過程で取り除かれ、供与年齢に関わらない回復を行うという結果。
今回の研究では、iPS細胞作製に同一日本人男性の36歳から67歳の時の皮膚線維芽細胞を使用。36歳から67歳の5段階の採取細胞からiPS細胞を作製・分化する過程で、細胞は初期化され、さまざまな老化過程にあった短縮した“テロメア”すべてが回復していることを確認しています。

**iPS細胞 :山中伸弥教授らのノーベル生理学・医学賞受賞により広く知られるiPS細胞は、2006年に誕生した新しい多能性幹細胞で、再生医療を実現するために重要な役割を果たすと期待の細胞。
**テロメア :細胞の染色体の両端にある繰り返しの塩基配列構造。細胞分裂と共に短くなっていき、限界を超えて短くなると細胞分裂が止まってしまう事から、テロメアの長さは老化の指標として知られています。

15日の発表後、美容にもiPS細胞が…と話題となり、16日には日経新聞や各紙のネットで掲載。iPS細胞と老化という、期待のキーワードはみるみる広がり、17日には朝のTVでも放映に。期待の高さが鑑みられます。

今後は、今回の新知見を次世代化粧品開発への応用に向け、老化過程の再現・メカニズムの解明や皮膚の生理機能解析研究、化粧品成分の評価系研究等を更に進めていくとのこと。
将来的には、一人ひとりの肌アレルギーに対応するオーダーメード化粧品の開発等、次世代化粧品への応用研究を進めています…。いずれも目の離せない研究です。
この研究成果は10月27日から30日までフランス・パリにて開催される「第28回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)」世界大会にて発表されます。

コーセーiPS細胞研究に着手

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==2014.10.22==